読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TNGパトレイバー『首都決戦』もとい『GRAY GHOST』サントラの感想 その1

本編(90分版)の印象

・予告で結構イングラム動いてるなって思ったんです、それが全てだったんです

・SEたぎる

・カーシャかっこいい

・耳たたんでるグレイゴーストかわいい

吉田鋼太郎さんの無駄遣い

本編(DC版)の印象

・一度グレイゴーストが出たらノンストップな感じ、怪獣映画っぽい→正式タイトルの方にすべきだった

・隊長の無言の演技は大事なところだった

・カーシャと太田原さんかっこいい

吉田鋼太郎さん無駄遣い

 

 

↓うち(大分)にもデッキアップにきてくれたよ(アップだからその雰囲気が伝わらねえ)

f:id:hanta1117:20151109013142j:image

 

 

 パト2と『GRAY GHOST』

 パトレイバー2 the movie(以下劇パト2)で描かれた物は極めて現実のものに感じられた。実写映画ともドキュメンタリーとも言えない雰囲気、かつ、アニメにしても仕方ない事を考慮しながら構築された、現実に近い何か……の雰囲気を作るのに、音楽の力が深く関わっていた事は言うまでもない。パト2での音楽が『情景に水の様に染み渡る音楽』であるとは、よく言われている事だろう。同じフレーズが繰り返し使われ、過度な盛り上がりをしない。かの有名なストリングスの『ごっごっごっごっ』(僕はずっと『でっでっでっ』だと思っていたが、川井さんがそう認定してしまっているので仕方ない)を始めとした淡々とした繰り返しや特徴的な音は、絵で表現しきれない東京のテクスチャを形作る、Outbreakという曲で淡々とした流れから爆撃シーンと共に大きく形を崩すというカタルシスを落とし込むなどの効能を生んだ。

 さて、首都決戦、もとい『GRAY GHOST』の音楽はどうか。

 Tr.01『凶兆』は「予感」から「発生」までをたった1分(!)で説明するドラマチックな曲である。の落差。タイトルバックも無く、緩やかに始まった映画だが、緩やかに続きそうな感じから一転、の落差をもたらしてくれる。このシーンを最初に見た方の大半は気付くだろう。これはパト2の最初、ベイブリッジの爆撃に似せたものである、と。その際に流れるBGMportentと合致している訳でも無いが、『でっでっでっでっ』や乾いた『カーッ』という音(時代劇の『カーッ』じゃないの)、そしてミサイル着弾か、の瞬間響き渡る鳥の鳴き声、これらが最早全てを説明している。90分版の冒頭、明確なパト2の音楽を背景にした東京の空撮で全てを語るよりは、DC版で『凶兆』を最初のBGMに持ってきた、の方がショックは大きい気がする。90分版が「あ、パト2だ」ならDC版は「あ!パト2だ!!」みたいな?それにしても、『凶兆』は『portent』を連想はするも、決定的に違う部分がある。それは旋律がドラマチックに展開されている、という点だ。この映画がパト2で描かれていた「現実」とは違うエンターテインメント、ドラマチックであるという点がこのシーンで既に示唆されているようないないような。

 ミサイル着弾、の瞬間で時間は分断され、特車二課の面々のシチュエーションに切り替わる。彼らが熱海にいる間、音楽は流れない。音楽が流れないといえば、後藤田隊長が無言で思案するシーンが印象深かった。あれも忘れられないシーンの一つだ。最初高畑警部を見送ったあとの部屋の誰もいない残響が強い。

 

 

灰原零が誰なのか

最後までこの映画の中心にあるのが自衛隊の戦闘ヘリ:グレイゴーストと灰原零であるが、灰原のテーマは正に中心に据えられた存在だという印象が、DC版では特に強く残る。Tr.03『探索1では、灰原の不気味な笑顔が見えるタイミングと併せて、「灰原のフレーズ』が顔を出す。Tr.05『嗤う女1では、『灰原のフレーズ』が『灰原』のフレーズである事が更に結び付けられると共に、同じフレーズが流れる事で、データ上では顔を見せない灰原の顔と名前がわかりやすく一致する。ミステリアスな女性の存在をわかりやすく説明する役割を担っているようだ。馬頭琴の尖った音と、最初の笑顔の鮮烈さが完全に合致する。そうして曲の断片として灰原が音楽と共に印象付けられていく先で、Tr.11『嗤う女2では情緒がかったアレンジで彼女の過去が示唆されると共に、そのミステリアスさが極まっていく。彼女の子供時代の映像は実際にテープにダビングしてテープをくしゃくしゃにしてノイズを出したものらしいが、無BGMでテープをそのまま差し込むのではなく、それを追憶の一部として音楽をつけ、強く残さずすぐに過ぎ去ったものにしてしまうのが実に『らしい』。ともあれ、そのようにして築きあげられた灰原のイメージは、Tr.14『嗤う女3で破壊される。僕はこのシーンでの後藤田隊長の反応が90分版では中々大袈裟に感じられた。しかし、90分版で除かれた『嗤う女2』のシーン(『嗤う女2』自体は別のシーンに当てられた音楽として残ってはいたが)は、この破壊のカタルシスを生むに必要だった……のではないでしょうか。多分。DC版ではもう、そういうものだとしてしか見れなかったからどうだとも言えないのですけど……だが、この連なりを知ったあとのTr.17『GrayGhostは明らかに違う曲に感じられた。

 

活劇のBGM

 トラックの別れ方や使い方から、灰原のフレーズは耳に残った。それにしても耳を引くのは、活劇のBGMである。活劇シーンやそのBGMはドラマ版の名スコア群に負けず劣らず、否、それ以上に実に振り切れていた。

 さて、活劇のBGMで最たるものは、グレイゴーストが整備されている工場跡地への突入時に流れるTr.10『突入 вторжение』である。川井憲次氏が作るロングスコアは本当にいつだって裏切らない。川井さんはブックレットで『多分すさまじいSEでほぼ聞こえなかったのではないか~じゃあいらないじゃん、と思った』と語っているがとんでもない。その凄まじいSEの間に見え隠れする旋律こそが美しいんじゃないか。カーシャの『突入!』の合図で畳みかけるようなストリングスの連続が解き放たれる。銃撃のSEの中で、かっこいいタイミングで浮き沈みを繰り返すBGMは、長尺の戦闘シーンを容赦なく盛り立てていく。

 カーシャの戦闘パートでBGMの白熱するシーンは銃剣術での戦闘シーンなので、銃声も無く、BGMがきっちり目立っている。その中で言えば、カーシャのトレードマークだった『キィン!キィン!』という音に近い旋律、カーシャが活躍する場面には必要不可欠なこの尖った音が、ストリングスによって雄大にな物に変貌していたのに興奮する。『タイムドカン』のフレーズも使われ、メドレー的な雰囲気でもある。曲自体にも大きな浮き沈みがある。

 迫りくる決起部隊をカーシャが蹴散らしたところで、音楽的に一つの盛り上がりとなっていたギターとストリングスとコーラスの波がすっと止み、鼓動のようなバスドラの音が緊張感を誘う。そしてグレイゴーストのハンガー内に辿り着く、という場面で曲調はそのままのテンポでガラッと変わる。この少し前、パンを左右に振るようなパーカッションの音が少しだけチラつくのがとても良い。転調を繰り返すストリングスの大波に乗った、点滅するコーラスの圧力がものすごい。所謂『最高に燃えるところ』という奴だ。これまでSEと共にあった曲の流れが、灰原がグレイゴーストに乗り込む時になって一気に前に出る。ここで『灰原のフレーズ』を流さずして何を流す。音量の調整も絶妙。絵と音楽がぴったり同調する喜びの波はここが一番高くなるところだろう。ここでまた沈黙、緊張感を誘うバスドラの音が。川井さんの音楽ではお馴染みなこの音が、シームレスに変化していく状況をうまく繋ぐ。この曲は最初三つに分かれていたようだが、頷ける。

 軽さすら感じられた曲はグレイゴーストのプロペラが回りだす瞬間で大きく形を変え、飛翔する様なうねり――『グレイゴースト』を象徴するフレーズ、つまり『グレイゴーストのフレーズ』が姿を見せる。と思えばすぐに、軍靴の音が聞こえてきそうな重たさが現れる。ここでもハンガーのシャッターを破壊して重たい身体を擡げるように飛び始めるグレイゴーストの音との同調が、快さを生む。それからはもうグレイゴーストの独壇場である。

 この『グレイゴーストのフレーズ』が最初に現れるのが、Tr.06『灰色の幽霊』である。これも幻想への移行を音と絵で表現した美しいシーンだが、ここでグレイゴーストそのものはあたかも怪獣映画の怪獣のように姿を現しそうで現さない。そして、『グレイゴーストのフレーズ』の主張も控えめで、ヘリのプロペラの音の影から沸き上がる様に低めのそれが沸き上がるといった感じである。しかし、印象には強く刻まれ、『突入 вторжение』でこれが流れる時、もうこのフレーズはこのグレイゴーストのモノである、という事がすぐに分かる。この前後数十秒で立て続けに流れる『灰原のフレーズ』も『グレイゴーストのフレーズ』も、本来の曲展開ではない抑えめというのが抑揚があって面白い。だれたのでつづきます。

 

 

 

 

 

 

耳コピしてるので良ければ

音楽知識の無さが本文と合わせて伺えることでしょう

【パトレイバー首都決戦MV】カーシャその他が突入する時の曲耳コピした - YouTube